このミステリーがすごい!2013年15位のバカミス作品
『猫間地獄のわらべ歌』は、幡大介の作品で非常に評価の分かれる作品です。時代ミステリー小説という分類が一般的のようで、現に2013年度のこのミステリがすごい!ランキングでは15位に食い込んでいます。しかし、作中で作者自らがあるトリックを完成させるために『この小説は推理小説ではないではない』と作中人物に言い切らせているあたり、どのように受け取るか評価が分かれるところです。
猫間地獄のわらべ歌、何ともおどろおどろしいタイトルです。タイトル通りわらべ歌に見立てた連続殺人事件が起きるのですが、推理小説におけるこの題材は非常にハードルが高いことで知られています。アガサ・クリスティや横溝正史先生などそうそうたる大作家が名作を書かれているからです。あえてそう言った題材に挑戦されるということは非常に勇気がいることだと思います。
いろいろな意見があると思いますが本作は『バカミス』です。バカミスと言うのはミステリーの一つのジャンルで決して悪口ではありません。逆にバカミスだと割りきった上で読むことによって本作の魅力も大きく広がっていくのです。
探偵小説にはいくつかの不文律が存在します。読者が犯人当てをする上でアンフェにならないようにというルールのようなものです。その一つに探偵が犯人であってはならないというものがあるのですが、この小説の大きな見どころの一つだと言っておきましょう。またそう思う事によってラストの結末で待っている誰もが唖然とするような叙述トリックも許せるはずです。