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瑪羅門の家族

宮下あきらの瑪羅門の家族(電子コミック)レビュー

瑪羅門の家族 【電子コミック】

著者 ページ数 クチコミ評判
宮下あきら 191ページ ★★★

酒鬼薔薇事件にて不本意の形で注目を浴びた、隠れた名作

瑪羅門の家族』は、魁!男塾などで有名な宮下あきらの作品です。1992年から1993年まで『週刊少年ジャンプ』で連載されていたマンガ作品で、全4巻が刊行されました。

『瑪羅門の家族』は、法で裁けぬこの世の悪を、瑪羅門家の三男で主人公の『瑪羅門龍(ばらもん りゅう)』を中心に二人の兄と父、祖父等と共に裁いていくといった物語。1つ1つの話の出来がよく2014年現在読み直してみても、十分すぎるほどに面白い作品です。

決して打ち切りになるようなレベルの作品ではなかったと思うのですが、実際には残念なことに打ち切りで終了になってしまいました。作品の最終ページがいかにも打ち切りといった描写で、何とも言えない気持ちになります。

作品途中からこの世を裏から操る『魔修羅』との戦いになり、初期にあったオリジナリティある味のあるストーリーが失われていきました。いわゆる純粋バトル漫画に移行してしまい、個人的に非常にもったいないシフト変更だったのではと改めて思います。しかしながら少年ジャンプという媒体の関係上、純粋バトル路線にシフトせざる得なかった事情があるのかもしれません。

本作は本来『宮下あきら』ファン、もしくは『魁!男塾』ファンでなければ、知る人ぞ知る作品として、うずもれてしまったであろう作品です。しかし不本意な出来事から一躍、漫画ファンばかりでなく世間からも注目を集めてしまいます。それは1997年に起きた『神戸連続児童殺傷事件』です。

犯人である酒鬼薔薇聖斗は、警察の捜査を混乱させる目的で犯行声明をだし、その声明文の中に瑪羅門の家族のタイトルから参考を得た一文が書かれていました。酒鬼薔薇本人も逮捕後、参考にした旨を供述をしております。

酒鬼薔薇聖斗の文:積年の大怨に流血の裁きを
瑪羅門のタイトル:積年の大怨に灼熱の裁きを!

こうして並べれば丸わかりですが、「灼熱」を「流血」に変えたようです。

本作の「積年の大怨に灼熱の裁きを!」という回のストーリーは、『瑪羅門の家族』の第三巻に収録されていますが、独裁者の圧政に苦しむ中東の小国シュメールにて、主人公達の仲間になるナセル・バラモンが独裁者を打倒するといったお話です。

一部ではこのマンガが悪い影響を与えたというような報道もされましたが、『瑪羅門の家族』は勧善懲悪の作品ですので、お間違いなく。



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