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百年法

山田宗樹の百年法(電子書籍)

百年法 第66回日本推理作家協会賞 【電子書籍】

著者 ページ数 クチコミ評判
山田 宗樹 394ページ ★★★★

パラレルワールドの日本が舞台

本屋大賞2013年9位第66回日本推理作家協会賞の山田宗樹の百年法は、フィクションですが描かれているのは別世界の現代日本です。つまり、社会趨勢などは基本的に同じなので、すんなりと設定に溶け込むことができるでしょう。百年法の見どころは、この現代社会をいわゆるパラレルワールドに置き換えて、「命」をテーマに今の日本に生きる様々なタイプの人間の群像を描いてみせたところでしょう。

とはいっても、この本は娯楽小説で、読者を飽きさせない展開で作中に引きずりこんでくれます。話に酔わせながらも、読み手の心には筆者のメッセージが響いてくるような小説です。

永遠の命を科学的技術によってついに手にいれたかに見える世界。日本もその恩恵を享受し、不老不死となった成人たちが描かれます。家族のあり方もかわり、人々が手に入れたのは決して「楽」ばかりではなかったようです。社会は歪み、政府はこれを正そうと「百年法」を施行しようと奔走します。百年たったら自ら死に赴く・・・この法律をめぐり、作中の日本国民は実にリアルに反応しているように思います。

この小説はいわゆるSFでありながら、奇想天外な話だとは思えません。読み始めたらやめられない、おとなのための娯楽小説ではないでしょうか。



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