「置かれた場所で咲きなさい」は、ノートルダム清心女子大学学長を務められた渡辺和子さんがご自身の半生を基に書かれた著作です。幼少の頃、教育大臣を務めていたお父様を226事件で目の前で射殺されたショッキングな経験をした渡辺さんは、お父様と同じ教育という道を生涯の道と定められました。
しかし、その道筋は決して平たんなものではありませんでした。特に若くして大学学長に就任した彼女への風当たりは内外共に厳しいものがありました。置かれた場所で咲きなさいは、そういった逆境下においても、決してその運命を嘆いたり、呪ったりするのではなく、そういった状況下を是として受け入れ、その中でベストを尽くすことを示したものです。
逆境や挫折を迎えた時、避けて通ったり、他人の責任にするのは非常にたやすいことです。しかし、それは根本的な解決策にはなりません。置かれた場所で咲きなさいは、単に我慢や忍耐を強いるものではありません。そうではなく、あくまで必須の出来事であったと受け入れる事の大切さを説いているものです。いくつもの試練と逆境を避けることなく、受け止めてその中でベストを尽くした渡辺さんの経験に裏打ちされていることが多くの共感を呼んだのです。