19歳の作家が芥川賞を受賞した「蹴りたい背中」
『蹴りたい背中』は、綿谷りささん作の小説です。2003年に河出書房より発売された中編小説です。この作品は金原ひとみさんの『蛇にピアス』と共に芥川賞を受賞しています。
ダブル受賞であることだけでなく、『蹴りたい背中』作者である綿谷さんは19歳11ヵ月、『蛇にピアス』の金原さんは20歳5か月とそれまでの最年少記録であった丸山健二さんの23歳を大きく塗り替えたこともあり話題となりました。物語は人付き合いを嫌う主人公の少女・ハツと同級生の少年・にな川との交流が描かれています。恋愛感情というには何かが足りないけれど、微妙な感情を抱いていく過程が描写されています。
タイトルでもある『蹴りたい背中』はにな川少年の背中のことで、実際に作中でハツはにな川の背中を蹴り飛ばしていました。この作品は中編小説に分類され、ページ数はわずか140ページしかありません。ですが、作者が年若いこともあるためか、リアルな高校生活が描写されており、それが高い評価を受けています。
2007年には『あらすじで楽しむ世界名作劇場』でドラマ化もされています。その際には主人公の少女・ハツは渋谷飛鳥さんが、にな川は載寧龍二さんが演じています。