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迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ

小倉広の迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ(電子書籍)

迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ 【電子書籍】

著者 ページ数 クチコミ評判
小倉広 59ページ ★★★★

リーダーのあるべき姿とは

社内コミュニケーションを考える上で「リーダーシップ」というのはよく言われることだ。しかし、そもそも「リーダー」とはどういう人のことを言うのだろうか? その名の通り、チームをリードしていく人物。仕事ができて同僚からの信頼も厚いスーパーマン。多くはリーダーと言うと第一に完璧で力強い、親分肌の人物を思い浮かべるのではないだろうか。もちろん、リーダーも様々だから、チームをぐいぐい引っぱっていくだけでなく、同僚や部下の話をじっくり聴くことで結束を固め、いい仕事をしていくというタイプもいるだろう。いずれにしてもリーダーというのは何か問題がおきてもそれを上手く解決できる術を身につけた人物のように思える。

 しかし、本当にそうだろうか? リーダーだって人間なのだ。悩むことだってある。かと言って他人が自分を頼ってくる程には自分は他人を頼ることができない。そこが辛いところだ。では、リーダーは迷ったとき、どうすればいいいのか?
「迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ」で描かれるリーダーは先のものとは若干趣が異なる。失敗するし、断酒を宣言しておきながら「やっぱりやめた」とばかりに酒を飲む。こう言うとだらしないように感じる方もいるかもしれないが、デキない自分を許容し慈しむことで生まれた余裕が周りにいる人間をも落ちつかせるのである。そこには旧来のリーダーにありがちな是が非でも部下と意見を一致させようという気負いは感じられない。あくまで自然体なのだ。

 ただし、自分を慈しむと言っても自分の利益を考えて好き勝手するというのではない。その点、本書で紹介されるリーダーたちはみな謙虚で、何よりも相手の気持ちを重んじる。そして、アドラー心理学で重視される「貢献」を実践している。そして、著者である小倉広氏は自身のうつ病体験を引き合いに出しながら、誰かのために行動することで得られる充足感について語る。
 何も力を振りかざすだけがリーダーではないのだ。リーダーシップの本質を愛情深いまなざしで掘り下げた上質のビジネス書、それが「迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ」なのである。



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