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陽気なギャングが地球を回す

伊坂幸太郎の陽気なギャングが地球を回(電子書籍)

陽気なギャングが地球を回す 【電子書籍】

著者 ページ数 クチコミ評判
伊坂幸太郎 394ページ ★★★★

一般層まで名を知らしめるきっかけになった伊坂の出世作

「伊坂幸太郎×銀行強盗」もうこれだけで面白そうだ。

この作家の作品を読み終える度にいつも思う。この作家のセンスは努力で身につくものじゃなく先天的なモノだな、と。作品から透けて見える作家のモノの考え方や趣味嗜好は決して万人が好きになるそれではないはずだが、事実、この作家の作品は幅広い支持者を集めている。

この「陽気なギャングが地球を回す」は一言で言うと銀行強盗が主題のクライム・ノベルである。珍しくはない題材だが、この作者の手にかかれば上質なエンターテイメントになる。

今回の作中に登場する主要キャラは「嘘を見破る天才」、「スリの達人」、「演説の名人」「寸分の狂いもない体内時計を持つ女」の4人。奇をてらいすぎていると感じる設定の面々が銀行強盗を行う。
これだけでも収拾がつかなくなりそうだが、作中で、「銀行から金を盗むことに成功した後に、別の銀行強盗グループに金を盗まれる。それを取り戻すために計画を立て、実行するがその過程で様々な不可解なことが起きる」という、より一層カオスな展開に発展する。

読者はこれを楽しみながら読み進め、最後には驚嘆することになる。キャラクター達が交わす小気味よいテンポの会話のやりとりにニヤつき、散りばめられた伏線の回収の鮮やかさに驚きを隠せないはずだ。

間違いなく魅了的なクライム・ノベルである。なお本作は一定の脚色があるが大沢たかお主演として2006年に映画化もされている。



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