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電子コミック「11円」セールで、常識打ち破る売り上げ3億円超を達成

電子コミック「11円」セールで、常識打ち破る売り上げ3億円超を達成

2016年6月8日

dennsyobato
※画像はITmediaニュースより

電子コミック販売サイト「漫画onWeb」や電子書籍取次サービス「電書バト」などを運営する漫画家の佐藤秀峰さん(代表作「海猿」「ブラックジャックによろしく」など)は、2月に伝書バトが実施した、電子コミック131冊を各11円で販売するセールの効果で、2月の売り上げ総額が3億円を超えたことを明らかにした。
売り上げトップだった佐藤さん本人には、1億3000万円以上の印税が入ったという。
出版不況の中でのこの結果に、佐藤さんは「すべての漫画家の希望となることを願っている」とコメントしている。

セールは、「楽天Kobo電子書籍ストア」で2月2日から1カ月間実施され、「海猿」(佐藤秀峰作)、「禍々しき獣の逝く果ては」(楠本弘樹作)、「あいこのまーちゃん」(やまもとありさ作)など42タイトル・合計131冊を各11円で販売した。
2月の売り上げ総額は3億円を超え、各作家が受け取るロイヤリティ額は、トップの佐藤さんが1億3388万円、2位が佐藤智美さんが1896万円、3位が716万円(匿名作家)、4位が595万円(同)、5位の楠本弘樹さんが230万円――にのぼったという。
佐藤さんは、1億3388万円という額について「1カ月間のロイヤリティ金額としては、控えめに言っても、これまでの電子書籍の常識を打ち破る数字」と述べており、紙の書籍の印税で同額を稼ぐには、単行本を約300万部を売り上げる必要がある。
販売したタイトルは新作ではなかったが、「大幅な値引きを行なった上で、取り扱い全作品を一気にセールに投入する」という作戦が奏功し、大きな売り上げにつながったとみられる。

電子書籍取次サービス「電書バト」は、簡単なクオリティチェックを通ればプロ・アマ問わず電子書籍を販売できる取次サービスで、2014年にスタート。国内主要電子書籍ストア約50店舗に対応している。

この電子書籍での売上は、日本の電子書籍業界のコミック需要が改めて数字で表されたと共に、紙の書籍として売り場がなくなってしまった古い作品も良いものであれば需要があり、電子書籍でも購入されるということが伺える結果となっている。

【参照】
電書バトニュース:http://mangaonweb.com/news/2016/05/25/269
佐藤秀峰note:電子書籍は漫画家の希望となるか?
漫画onWeb:http://mangaonweb.com/

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