#1010 物語を、一緒に。
あなたと一緒に話すお話が好き。
今日は、6人での会食。
一人の人が、長話を始めた。
そもそも、その人は、招かれた人ではなかった。
招かれた人が、誘ってしまって、ついてきた人だった。
緊張していた。
緊張のあまり、一人喋りが、長くなった。
こんな時。
私は、退屈しない方法を、編み出した。
あなたは、どこが違うのかを、考えること。
その場に、あなたがいなくても、できる。
あなたも、物語を話してくれる。
まるで、落語のように。
あなたの落語のようなお話が、好き。
お話が好きというより、お話の仕方が好き。
今、ここで続いている長話は、一人で喋っている。
私たちは、完全な聞き手。
心の中でも、聞き手。
いつ終わるんだろうかと、心の中で、つぶやいている。
あなたのお話は。
心のなかで、喋っている。
実際に、合いの手を入れている。
あなたが話す物語なのに、一緒に語り手になっている。
お話の中に、登場している。
話し手と、聞き手の、境目がない。
あなたが話しているのか、私が話しているのか、わからない。
きっと、一緒に話している。
だから、退屈しない。
だから、楽しい。
あなたが話す時は、むしろ話し手のあなたより、聞き手の私のほうが、話している量は、多いに違いない。
あなたの話を思い出して、つい、吹き出してしまった。
長話の人の話は、まだ続いている。
私の思い出し笑いに、ちょっとうれしそうだった。
よかった。
つまらない話に、まったく退屈しなくなった。
私は、いつもあなたと話をしている。