#1011 始まる前に、始まって。
あなたのパーティーが好き。
今日は、あなたとパーティー。
案内されたのは、主賓席。
まだ、誰も来ていない。
あなたは、開演時間ではなく、開場時間に来る。
たぶん。
それは、海外での習慣。
日本のパーティーでは、ゲストは開場時間ギリギリに来る。
ギリギリに来るのは、マシなほう。
遅れてくる人が少なくない。
暇なことが、ばれないため。
実際は。
忙しい人ほど、早めに来ている。
本当のパーティーは、パーティーが始まる前に、始まっている。
パーティーが、始まる前に、終わっている。
あなたは、全体を、見回す。
もし、アクシデントがあった時に、即、対応するため。
ゲストなのに、主催者になっている。
前にも、女性のドレスが、ステージの階段の角に引っかかるアクシデントがあった。
次の瞬間、あなたは、女性のドレスの裾をさっと、さばいていた。
参加者の誰も、あなたが、スタッフではなく、ゲストであることに気づいていなかった。
ホテルのスタッフに話しかける。
主催者のスタッフに、話しかける。
MCの女性に、話しかける。
場の緊張を、ほぐしている。
誰もが、あなたに話しかけると、微笑む。
緊張していたことに、気づいて、ホッとする。
主賓テーブルに、やっと一人の人が現れた。
あなたは、さっと立って、挨拶に行った。
胸に花束をつけたそのゲストは、ホッとした顔になった。
今日のパーティーは、大丈夫という安堵の顔になった。
そんなあなたのパーティーを、見るのが私は、好き。