#1012 一体感を、感じる。
あなたのスピーチが好き。
あなたと、パーティーに来ている。
主催者の挨拶が、始まった。
主催者の挨拶は、堅苦しくてつまらないものが多い。
今日は、なかなか面白い。
関西弁のトークを聴いている感じがする。
スピーチではなく、トークなのがいい。
次に、主賓の挨拶。
これも、つまらないのが、お約束。
偉い人が、遠慮しているふりをしながら、自分の仕事の宣伝をする。
しかも、長い。
でも、今日は、違った。
面白い。
ビジネスの話をしているのに、面白い。
もっと、もっと、聴いていたいという気になる。
今日は、来て正解だった。
そう感じたのは、私だけではない。
ここにいる人、全員だった。
気がついた。
あなたは、スピーチをする人の写真を撮っている。
頼まれたわけではない。
きっと、後で送ってあげる。
意外に、主催者からは、送られてこないので、喜ばれる。
こんなところでも、小さなサービスをしている。
あなたの名前が、呼ばれた。
乾杯のご発声。
このところ、乾杯のご発声で、お声がかかることが多い。
他のパーティーで、聞いた人から、依頼があるのではない。
たぶん、神様が聴いている。
神様からの、オファー。
同じ話は、二度しない。
聞き手は、かぶらなくても、しない。
前の人がした話は、しない。
あなたが話し始めると、会場全体が、吸い寄せられる。
今、思いついたように、話す。
前に話した人について、触れる。
今日、ここで見たものに、触れる。
あなたの胸には、練り上げられた原稿があるはず。
それを捨てて、前の人の話を受ける話をする。
同じテーブルの人の誰かが、つぶやいた。
「面白いなあ」
会場に、一体感が生れていた。