#1017 ギューギューの中の、ゆったり。
あなたとのエレベーターが好き。
あなたと、ホテルのレストランに行く。
エレベーターに乗る。
エレベーターは、混み合っていた。
混み合っている、はずだった。
実際に、混んでいた。
でも、あなたといると。
混んでいる感じがしない。
テレワーク以降、電車の本数が減った。
そのおかげで、電車が前より、混んでいる気がする。
インバウンドも、増えた。
みんなのカバンが、前より大きくなったのも、気のせいだろうか。
こんなにデジタル化しているから、荷物が減るはずなのに。
むしろ、前より、荷物が増えている気がする。
旅行ではない人が、キャリーケースを押している。
キャリーケースに、何を入れて持ち歩いているのだろう。
そういえば。
あなたは、モナコで、キャリーケースを買った。
そのキャリーケースを、転がしている所を見たことがない。
キャリーケースも、手で持っていて、おしゃれ。
混んでいるエレベーターが、ワンフロアごとに停まる。
気がつくと。
さっきまで、圧をかけられていた男性の肩が、なくなった。
あなたが、私を包みこんでくれていた。
あなたの胸の中の広いスペースで、ゆったりした。
抱きしめているわけではない。
体は、密着していない。
なのに、スペースを作ってくれている。
心地いい空間の中にいた。
エレベーターは、満員なのに。
このまま。
エレベーターが、永遠に到着しなければいいのにと、感じていた。