#1027 長期戦に、持ち込む。
あなたの長期戦が好き。
朝、あなたがシャワーから出て来た。
「なんか、肘が痛いんだけど」
見ると、たしかに赤い。
「とりあえず、病院で、診てもらったら」
こんな時、たいていの人は、「もう少し様子を見てから」となる。
あなたは、違う。
すぐ、病院に行った。
今日も、スケジュールが、びっしり入っているにも、かかわらず。
前に、骨折で通っていた病院の診察券を探して行った。
その整形外科は、ビルの建て替えで、近くの場所に移転していた。
あなたは、自分が教える側でも素晴らしい。
同時に、教わる側でも、素晴らしい。
良い生徒であり、いい患者になる。
先生に、全幅の信頼を置く。
エコーをその場で見て、溜まっている水を、抜いてくれた。
「ちょっと、太い注射なので、ごめんなさいね」
その言い方が、優しかった。
先生は、抗生物質を2週間分、処方してくれた。
「症状が治まっても、2週間は、飲み切ってくださいね」
さすがに、カルテに、あなたの性格まで、記録されていなかったようだ。
あなたは、長期戦が強い。
あらゆることを、長期戦に持ち込む。
前回、骨折の電気治療をした時、あなたは、黙々と毎日リハビリに通い続けた。
医師は、とうとう言った。
「もう、これくらいで、勘弁してください」
通常は、患者さんの方が、根をあげるのに。
あなたが、2週間処方の抗生物質を、途中でやめるわけがない。
2週間後のその先生の予約を入れた。
もう、すでにあなたの中で、長期的な工程表ができあがっている。
2週間後、先生を喜ばせるために、立派な患者を目指している。
治療でも、恋愛でも、長期戦のあなたがいい。