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#1043 ハヤシライスの、お告げ。

あなたのお告げの聞き方が好き。
あなたと、美術館に行った。
日替わり休日の連休明けの火曜日。
歴史のある京都の密教のお寺の展覧会。
そのお寺には、国宝が、9件ある。
そのうち、8件が、お出ましになっている。
残り1件は、梵鐘だった。
さすがに、重すぎて運べない。
梵鐘がないと、近所の人も、困るに違いない。
梵鐘が重いのは、そういう意味があるに、違いない。
京都でも、山の中にあるので、それを東京で見ることができるのは、幸運。
なかなかの猛暑日だった。
日差しが、強い。
駅から美術館までの道は、少しある。
一人で歩くと、遠く感じる。
あなたとだと、近く感じる。
木が茂っていた。
あなたと、木陰を歩くのも、楽しかった。
連休明けで、猛暑日。
チケット売り場は、いつもより、空いていた。
隣の窓口の男性が、つぶやいた。
「休みなら、駅に看板を出してほしいよね」
ここでは、複数の企画展がある。
お休みの企画展も、あるに違いない。
窓口で、あなたが、お寺の企画展を2枚、お願いした。
「今日は、お休みなんです」
あっ。
その瞬間、あなたは理解した。
美術館の休日は、月曜日。
日替わり休日の連休の後の場合は、火曜日がお休み。
今日が、その日。
さっきの駅に看板を出してほしいというのは、この展覧会のことだったことも。
そんな時、あなたは、にこやか。
「あっ、また来ます」
と、窓口の人に微笑む。
「近くでしているシュールレアリスムの展覧会に、先に行っておいで。帰りに、ハヤシライスを食べるといいよ」
大日如来様から、そんなお告げを聞いた。
密教とシュールレアリスムが、結びついた。
お相伴に預かる私の口は、ハヤシライスの口になっていた。



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