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#1050 縄文時代の、故郷で。

あなたの縄文時代の故郷が好き。
あなたと、南青山の美術館。
その前に、ランチをした。
ランチの後。
美術館は、地下鉄で、一つ隣の駅。
「暑くないかな」
あなたが、聞いてくれた。
9月に入っても、猛暑は続いていた。
でも、あなたといると。
不思議と、暑さが、気にならない。
むしろ、時折吹く、秋の風に心地よささえ感じる。
「歩いて、行こうか」
地下鉄の駅に向かわずに、道をわたった。
細い道に、入った。
さっきまでの観光客が多い道とは、うってかわった。
静か。
歩いている人が、明らかに、近所に住んでいる人。
しかも、おしゃれ。
年配の方が、おしゃれ。
散歩しているワンちゃんまで、気品を感じる。
近くは、よく歩いているのに。
この道は、一度も歩いたことがなかった。
あなたは、ぶらぶら、歩く。
事前に決められたルートを歩いている気配はない。
気の赴くままに、歩いている。
向かっているというより、散歩を、楽しんでいる。
途中に、不思議な建物が現れた。
木を組み合わせた3階建。
台湾スイーツのお店。
やっぱり、有名建築家の設計だった。
面白いお店がたくさんある。
道のアップダウンが、激しい。
表参道から、外苑前に、向かっている。
左側が、青山通り。
右側が、急な下り坂になって、西麻布に続いている。
「縄文海進時代にね」
あなたが、思い出話をするように、話してくれる。
このあたりは、海岸線だったんだよ。
小さな神社が、現れた。
神社の名前に、船の字が入っていた。
あなたの故郷を、歩いている気分だった。



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