#1052 第一音が、優しい。
あなたの第一音が好き。
今日は、あなたとピアノのコンサート。
あなたと、待ち合わせ。
あなたが、待っている。
あなたの、第一声。
それだけで、幸せな気分になる。
それだけで、今日あった、いやなことを忘れる。
そう言えば。
今日も、納得いかないことがあって、私はモヤモヤしていた。
あなたと会って。
何に、モヤモヤしていたか、忘れた。
もう、モヤモヤしていたことすら、薄れてきている。
なんで、ハッピーになるんだろう。
セリフでは、もはやない。
言葉では、ない。
トーンに、近い。
この間、あなたが、待ち合わせに遅れた。
「ごめんね」
それを聞くだけで、私は、ハッピーになった。
なんだろう。
「ごめんね」のどこに、私は、ハッピーになっているのか。
「ね」が、優しいからだと、思っていた。
気づいた。
優しいのは、
「ごめんね」の「ご」だった。
あなたの「ご」は、最高に優しい。
抱きしめてくれる。
「ごめんね」だけじゃない。
あなたの言葉は、全部、第一音が、優しい。
第一音が、香りになっている。
コンサートが、始まった。
ショパンのノクターン2番。
第一音に、あなたと同じ優しさが、あった。