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#1068 あの世も、この世。

あなたの時空をまたぐテレパシーが好き。
あなたと、怪談を聞きに行く。
もう、30年以上、ミステリーナイトツアーに通っている。
初めて行くまで、怖かった。
初めて行った時、予想は、覆された。
たしかに、怖い。
でも、脅かすような、怖さではない。
いつもと違う時間の流れに入る感覚。
語り手は、怖そうに話さない。
日常会話のように、話す。
いつのまにか、異次元の世界に、入り込んでいる。
あなたは、淡々と、味わっている。
シャーロックホームズのドラマを見る時と、同じ表情をしている。
語り手を通して、死者と出会う。
そう言えば。
あなたのご両親は、もう天国にいる。
あなたは、ご両親の話を、よくしてくれる。
その時、不思議なのは、現在形であること。
「よくしていた」ではなく、「よくしている」と言う。
ふと、ご健在なのかと、思ってしまう。
ちがう。
あなたの中で、この世に、健在なのだ。
あなたの時間は、過去は、今にある。
未来ですら、今にある。
「いつか、こうしよう」ではなく、「こうする」という。
生者と死者を分けない。
あなたは、ふだんから、ミステリーナイトの世界の中に生きている。
終演後。
語り手と、握手。
語り手もまた、生者と死者を分けない。
時空をまたぐ二人のテレパシーのやり取りがあった。



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