#1073 群れから、離れて。
あなたの群から離れて泳ぐのが、好き。
あなたと、ビュッフェ。
高層ビルの19階のフロア。
エレベータから降りると、レストランに向かう人。
案内板に向かう人。
クリスマスツリーに向かう人。
3本の人の川の流れが生まれた。
ぶつかって、ウロウロしている人もいる。
あなたは、どの川にも、邪魔しない位置に立っていた。
移動したのではなく、その川の流れを予測していた。
レストランの前は、オープン前から、すでに行列だった。
予約の時間になった。
あなたは、ひと呼吸おいて、レストランに向かう。
前には、一組だけ。
そして、私達の番。
あなたは、フルネームを伝えた。
そして、「2名、揃ってます」と添えた。
あなたは、前のお客さんが、入口のスタッフに聞かれているのを聞いていた。
「下のお名前を、頂戴できますか」
「2名様ですね」
「お揃いですか」
前のカップルは、確認されていた。
あなたは、いらない手間を省いてあげていた。
ビュッフェ台は、オープン直後で、行列が生まれていた。
あなたは、行列に並ばない。
並びたくないのではなく、列を一人でも減らすことに協力している。
その間に、私のドリンクとスープを運んでくれる。
お箸を、運んでくれる。
テーブルに、お箸がないことを、確認していた。
目が合う。
ブッフェ台にいても。
テーブルにいても。
あなたは、いつも、私がどんな状況にいるか、把握していてくれる。
あなたは、アミューズを持ってきてくれた。
あらっ、こんなに、どこに。
あなたが、微笑んでいる。
もちろん、あなたのオリジナルのアミューズ・ブーシュ。
隣のカップルの女の子が、見ていた。