#1081 眠っている少年。
あなたの中の男の子が好き。
あなたがのぞみに乗っていた。
東京駅から、新大阪まで。
東京駅の地下街でお弁当を買って、すぐ食べ始める。
食べ終わった後は、三河安城まで、眠る。
眠いからというより、強制的に、眠る。
以前は、ずっと、勉強していた。
持ってきた資料を、ずっと読んでいた。
今は、新幹線の中での過ごし方を、進化させた。
体調管理のために。
三河安城までは、眠る。
そうすることで、持続的な頭の回転をキープできる。
三河安城というのは、そこで社内アナウンスがあるから。
「ただいま、定刻通りに、三河安城駅を通過しまして、あと9分で名古屋駅に到着します」
これが、あなたの目覚まし時計。
スマホの目覚まし時計をセットするわけではない。
それで、あなたは目が覚める。
体に刻み込んでいる。
東京への帰りは、「小田原駅」が目覚まし時計。
三河安城駅から先は、あなたの勉強タイム。
もってきた資料を、読む。
そうすることで、到着することには、頭がフル回転していく。
寝る時の装備も、決まっている。
エアで膨らむクッション。
耳栓。
アイマスク。
頭からかぶるフード。
これで、周りが少々うるさくても、眠りの質が上がる。
爆睡して、さっと起きる。
眠っている間に、キャビンアテンダントさんが、おしぼりを置いてくれていたのも、気づかないくらい爆睡。
今日は、後ろに男の子とママ。
その後ろに、友だちであろう男の子とママ。
二人の男の子のおしゃべりも、気にならなかった。
京都駅を、過ぎた時、後ろの男の子が、叫んだ。
機関車の型番だった。
新幹線沿いにある京都鉄道博物館の機関車だった。
その声に、後ろの友だちも、叫んだ。
一緒に、あなたも心の中で、叫んでいた。