#1101 キッチンで、誰かと。
あなたのキッチンの独り言が好き。
あなたが、キッチンで料理を作っている。
あなたは、作ってもらうのも、作るのも、好き。
お父さんが料理をしていたので、料理は、男性がするものと、子どもの頃からの習慣らしい。
仕事をしている両親の代わりに、妹さんのご飯を作っていた。
ある日、妹さんが、言った。
「お店みたい」
この言葉が、あなたの料理スピリッツに、火をつけた。
あなたは、喫茶店で見た盛り付けをマネして、妹さんに出したのだった。
私は、妹さんに感謝しなければ。
妹さんは、結婚してからも、ご主人に作ってもらっているらしい。
ご主人も、妹さんが、火をつけたに違いない。
キッチンで。
話し声が、聴こえる。
あなた一人のはずなのに。
あなたの独り言だった。
独り言にしては。
会話に、なっている。
あなたは、確かに、誰かと話している。
話し方は。
面白い。
あなたは、敬語で、話している。
「これを、こうすると、どうなりますか」
きっと。
あなたは、料理の神様と、話している。
料理の神様と、相談しながら、作っている。
あなたは、同じものを作っても、同じようには作らない。
なにか一つ、工夫している。
その工夫を、神様と相談している。
神様と相談しているから、敬語にちがいない。
料理を作りながら、あなたは、楽しそう。
そんなあなたの姿を、私は味わっている。
ごちそうさま。