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#1116 一緒に、タイムスリップして。

あなたのストイックな横顔が好き。
あなたと、映画の博物館に。
あなたの大学時代通っていた場所に、タイムスリップで、連れて行ってもらえる。
タイムスリップが、楽しいのは、好きな人と一緒に行けること。
一人で行ったら、寂しい。
あなたは、映画学科を卒業してから、初めて行く。
学生時代、入館料は、一般250円。
学割が、130円。
朝から並んで日替わりで上映される昔の映画を観る。
並ばないと、満席になるので入れない。
普通の映画館では、上映していない映画を観る。
あなたは、この映画の博物館の階段で、大学の4年間、本を読んでいた。
その頃は、売店があった。
カレーライスが、250円。
ミートソーススパゲティが、130円。
どうやら、ここでは、お金の単位が、250円と130円しかないらしい。
それから、40年の時を越える。
なんと。
入館料が、一般250円。
学生、130円。
やっぱり。
ここは、時間が止まっている。
やっぱり、あなたとタイムスリップしたに違いない。
ただ、1点だけが、違っていた。
シニア割引があった。
なんと、無料になっていた。
やはり、40年の時は、流れていた。
「とうとう、大人料金を払わずじまいだったね」
あなたは、微笑んでいた。
常設館には、映画の歴史的なカメラや映写機が展示されていた。
あなたは、コマーシャルの撮影をしていた時代、完成試写の映写機も、回していたらしい。
歴代の映画スターのスチール写真も、展示されていた。
昭和の二枚目俳優の顔は、ストイックだった。
こんな昭和のストイックなニ枚目は、どこに行ったのだろう。
そうか。
ここに、いた。
あなたは、昭和のストイックな世界に生きていた。
私はやっぱり、40年前に、タイムスリップしていた。



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