#1119 遠くから、気づいて。
あなたの遠い会釈が好き。
あなたと、ランチで老舗のイタリアンに行った。
外は、日曜日で賑わっているのに、中は、静かだった。
満席でも、静かなのがいい。
プリフィックスメニュー。
前菜と、パスタを選べる。
こういう時は、安心。
前菜を、2種。
パスタも、2種。
あなたが、取り分けてくれる。
前菜は、サラダも、オードブル盛り合わせも、それだけでメイン料理になるくらいのボリューム。
パスタは、あなたが、取り分けでくれると、小皿の上で、パスタが立ちあがる。
お皿の上で、渦を巻いている。
ドルチェも選べる。
2種類を、最初からそんな盛り付けだったかのように、盛り付けてくれる。
しかも、早い。
幸せな気分で、お店を出た。
お店は、2階。
お店の隣には、同じ系列店のすき焼き屋さんがある。
1階に降りるエスカレーターに乗った。
あなたが、ふと振り返って、手を振った。
それは、さっきまでいたイタリアンのお店にではなかった。
すき焼き店の方だった。
こんなに離れているのに。
お店の人が、あなたに会釈しているのに、あなたは気づいた。
その前に、あなたは、お店の人に会釈していた。
来週の週末は、すき焼きの予感。
口の中に、すき焼き味が、広がった。
即、あなたは、お店に予約を入れていた。