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#1125 頼まれて、いないのに。

あなたの頼まれていないのに考える所が好き。
あなたは、今日は病院の研修。
場所は、看護学校の研修室。
ついたら、ちょうどお昼休みだった。
看護学生のランチタイムだった。
入口に、たこ焼きののぼりが出ていた。
研修室に案内された後、あなたは、たこ焼き売り場に戻った。
「おいしそう」
と、前を通る時、もう声をかけていた。
「みゆきちゃんのたこ焼き」と、店名が出ていた。
「みゆきちゃんは、どの人?」
あなたは、明るく話しかけた。
その話しかけ方は、どこかで聞いたことがあった。
『家族に乾杯』の鶴瓶さんの話しかけ方だった。
「はーい」
と、みゆきちゃんが、元気いっぱいに手を挙げた。
「1211って、なんやろう」
看板に、1211と書かれていた。
「娘の誕生日です」
それだけで、家族の仲の良さが、うかがえる。
「さっきから、いい匂いしてるね」
みゆきちゃんが、フライパンで何かを焼いていた。
「フレンチトースト、最後の1枚です」
「えっ、たこ焼きだけじゃなくて、フレンチトーストもあるの」
「たこ焼きは、売り切れました」
「おいしいんやね。今度、絶対、食べよう。さっきから、カレーの匂いも、してるけど」
「カレーも、売り切れました」
なんと、カレーもあった。
あなたは、考えていた。
このお店が、もっと繁盛するには、どうしたらいいか。
匂いのするものを、通りの方に近づけて、扇風機で匂いを通りに流して……。
頼まれてもいないのに、あなたは、ニコニコ考えていた。
商店街で育った小学生のあなたが、そこにいた。



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