#1130 その言葉を、待っていた。
あなたの心の中の声の代弁が好き。
あなたと、ランチですき焼きの老舗に。
混まないうちに、と早めに行ったら、満席。
ここでも、あなたは、違う。
さっと、帰ったりはしない。
「何時頃なら」
と、粘ったりもしない。
入口に名前を書くようなお店ではない。
あなたは、感じよくお店の人に、挨拶をする。
「お昼を過ぎた後の方が、空いてますかね」
「そうですね」
あなたは、ニコニコ笑っている。
「お昼も、予約はさせてもらえるんですか」
「もちろん、どうぞ」
次回の情報も、ゲットしている。
「また、お電話して伺います」
満席を、感じ良くなるチャンスにしている。
エスカレーターで、ワンフロア下の焼き魚のお店に入る。
知っているお店ではない。
初めてのお店。
さっき、エスカレーターを上りながら、このお店をあなたは見ていた。
あなたのリストに入っていた。
だから、満席でも、ニコニコできた。
あなたは、反対側の名古屋コーチンのお店も、見ていた。
お店に入ると、ちょうど、最後の1テーブルが空いていた。
あぶなかった。
お昼前時に、探していたら、埋まってしまうところだった。
美味しそうなメニューがいっぱいある。
あなたは、前掛けをしたスタッフの女性にオーダーをした。
感じのいいスタッフさんだった。
あなたは、オーダーを頼むスタッフさんも、選んでいる。
慣れていないスタッフさんはスルーして、動けるスタッフさんを瞬時に選ぶ。
あなたは、どこで見分けたか。
それを考えるのが、あなたと一緒にいる楽しみ。
わかった。
前掛けの紐の結び方だった。
ベテランスタッフは、前掛けの結び方が、きれいだった。
お隣りのテーブルに、女性2人組が座っていた。
2人は違うものを頼んだのか、1人だけ焼き魚が来て、もう1人がまだ来ない。
遠慮して、待っている。
まだ来ない人は、何も言わない。
「温かいうちに、どうぞ」
あなたは、隣のテーブルの女性に、囁いた。
お店の人の心の中の声だった。