#1136 平衡感覚がなくなる快感。
あなたの宇宙遊泳感が好き。
あなたと、落語を見た。
その後、夕食の予約の時間まで、少し時間があった。
寄り道。
こういう時、面白くなる。
ワクワクする。
一軒のビルの方へ向かう。
電気が消えている。
残念。
休みか。
そうではなかった。
中には、人がいた。
あなたは、躊躇せず、中に入った。
8畳のお店の中で、個展が開かれていた。
いつのまにか、あなたは一人の若者と話していた。
作者だった。
日本画家で、墨とアルミを使った作品を手掛けている。
電気を消しているのは、自然光で味わうためだった。
自然光で見ると、外から中まで、暗くなるにつれて、作品が違って見えた。
外を人が通るたびに、揺らめいて見えた。
水平線がないので、平行線を奪われた。
そうすることで、吸い込まれていく感じがした。
奥の壁に、大きな作品が、掛けてあった。
あらっ?
歪んでない。
それとも、私が、歪んでいるのか。
額なしに、和紙に描かれた作品が、ぶら下がる消えた電灯のケーブルに比べて、曲がって見えた。
あらためて見ると。
柱も、梁も、すべて、平行なものはなかった。
昭和初期の建物なので、建物自体が、平行でなくなっていた。
水平線を失うと、宇宙に浮いているような感覚になった。
それはそれで、心地よかった。





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