#1137 あなたの紙エプロンに、なりたい。
あなたの紙エプロンの解き方が好き。
あなたと、おうどんのお店。
案内してもらったのは、掘りごたつの和室。
ここはもう、おうどんのお店ではない。
高級会席のお店。
映画では、悪の密談をする場所。
それくらいの格式がある。
そんな中で、おうどんというのがいい。
あなたが、手際よく、分けてくれる。
手伝おうと思ったら、もちあげたおうどんが、丼から出なかった。
おうどんは、無限に長く感じられた。
あなたは、丼の縁を利用して、すべらせた。
丼の縁が、とりわけしやすいような角度に、計算されていた。
スタッフは、外国人の女性だった。
南米系の顔立ち。
マスクを取ると、美人であることがわかった。
日本人よりも、丁寧な日本語で対応してくれる。
彼女にオーダーする時、あなたは、わかりやすい美しい日本語で、話す。
何よりも、タイミングがいい。
彼女が、安心しているのが、わかる。
ふと見ると、私の紙エプロンに、ハネが飛んでいた。
カレーうどんに、違いない。
紙エプロンをしていてよかった。
あなたは。
まさか。
3種類のおうどんを取り分けているのに、ハネが一つも飛んでいない。
しかも。
紙エプロンに、シワがない。
私の紙エプロンは、もんだようにシワだらけ。
あなたのは、まるでアイロンをかけたよう。
おうどんのアイスクリームは、おうどんを味わうようなコシがあった。
あなたが、紙エプロンの首の結び目を、スルスルと解いた。
入る時、大広間で、食べ終わりの人の紙エプロンを外す所を見た。
引きちぎっていた。
あなたの紙エプロンに、なりたい。





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