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#1140 殺気を、感じて。

あなたの殺気の感じ方が好き。
あなたと、レストラン。
レセプションにいた男性が、にこやかに出迎える。
男性で、こんなににこやかな人は、珍しい。
テラスと、ハーフテラスと、店内が選べる。
私は、ハーフテラスを選んだ。
「こちらへ、どうぞ」
にこやかな男性が、あなたを案内する。
この時。
私は、気づかなかった。
後で聞いて、初めて知った。
あなたは、にこやかな男性に、殺気を感じていた。
殺気って。
アクション映画でもあるまいに。
あなたは違った。
いつ、案内してくれる男性が、振り返って銃で撃ってきてもいい態勢に入っていた。
あなたの中では、アクション映画と、現実の境目はない。
ところが。
何事もないまま、席に案内された。
テーブルの担当は、にこやかな男性ではなかった。
いつものように、季節のサラダは、美味しかった。
季節ごとに、細かく内容が変わる。
テーブルチェックを済ませて、帰る時。
帰るあなたに、にこやかな男性がさりげなく近づいた。
そして、言った。
「いつも、本、読んでます」
「僕は、いつもごちそうになってるよ」
「いつ、話しかけようか、迷ってました」
それが、殺気だった。
殺意も、殺気。
「話しかけよう」も、殺気。
あなたは、感じる。
人から発するエネルギーを。
後で、名刺を見ると、店長だった。
男性が、さらににこやかになった。



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