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#1157 猛烈に速く、猛烈に緩やか。

あなたの生きる時間の流れが好き。
あなたと、展覧会。
あなたが絵を見る時、時間が止まる。
でも、違った。
時間が止まっているわけではなかった。
まわりで見ている人の時間は、流れ続けていた。
あなたは。
絵を見ていたのではなかった。
絵の中に、入っていた。
見ている人の時間ではなく、絵の中の時間にいる。
だから。
絵を見ている人からすると、あなたの時間は、止まっている。
あなたは、額の外側にいない。
額の外側に見せかけた見えない額の中にいる。
だまし絵の構造になっている。
あなたと絵を見ると、面白い。
あなたを通して、絵の中に、一緒に入ることができる。
絵の中のあなたと、話をすることもできる。
あなたは、絵の中に入る霊媒師の役割を果たしている。
日常生活では。
時間は止まらない。
常に、流れている。
私たちは、常に、時間に流されている。
立ち止まって、眺めることは許されない。
情報化社会になって、ますます、人は眺めることをしなくなった。
見ることすら、せっかちに、早送りするようになった。
情報を得るには、そのほうが便利。
でも、アートを味わうには、眺める時間が要る。
こんなにスピーディーに生きているあなたが。
こんなにゆったりとした時間を生きている。
そのギャップが、面白い。
猛烈に速く、猛烈に緩やか。
あなたを眺めることで、私も、一緒にもう一つの時間の流れの中に、誘われる。



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