＃1163 セクシーな、ハスペロウ。

あなたの英語の発音が好き。
あなたと、ホテルのエレベーター。
降りる途中、乗ってきた外国人が、あなたに話しかけた。
あなたは、即座に、返した。
考えて返した感じではなかった。
条件反射で、返していた。
日本語で話しかけられれば、日本語で返す。
英語で話しかけられれば、英語で返す。
話しかけられた瞬間、モードが切り替わる。
スイッチを入れ替えるのではなく、スイッチが入る感覚。
関西弁で話しかけられれば、関西弁で返す。
気づいた。
英語で話す時、あなたは声が低くなる。
日本語で話している時も、あなたの声には、低い響きがある。
英語だと、一段、声が低くなる。
スペイン語は、英語と同じくらいの低さ。
フランス語だと、英語よりも、さらに低くなる。
耳元で囁かれている感じ。
中国語は、日本語よりも、高くなる。
関西弁の時と同じくらい、高くなる。
まるで。
楽器を、バスからテノールまで、使い分けている感覚。
ノドの位置が、変わる。
日本語は、舌をあまり使わない。
口の中で浮かんでいる。
英語は、舌を細かく動かす。
今朝も、外国人の人に聞かれた。
「ウエアリズザ・ハスペロウ」
ハスペロウ。
ハスペ楼？
高級中華料理店かな。
「ワツロン・ウイジュー」
外国人の人は、安心した顔で、教えた方向に向かっていった。
「ハスペロウ」は「ホスピタル」だった。
あなたは、アルファベットではなく、音で聞いている。
４歳の教会の日曜学校から。
あなたの「ハスペロウ」は、ノドの奥から声が出ていた。
あなたの「ハスペロウ」が、セクシーに「アイラブユー」に聴こえた。