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#1167 負けて、快感。

あなたの手作りが好き。
あなたと、ホテルのビュッフェに。
オープン早々、ビュフェテーブルは、混雑する。
その列に、あなたは決して並ばない。
最初の頃、私は、並んでいた。
列ができるほど、早く並ばないと、と並んでいた。
あなたは。
トレイを、持たない。
お盆も、持たない。
全体を、眺める。
今日は、何があるか。
時々、お客さんに質問されている。
総支配人と、間違えられている。
にこやかに、答えている。
キッズコーナーがあった。
子ども向けのメニューがあった。
子ども向けのメニューは、魅力的だった。
子どもは、大はしゃぎ。
それ以上に、大人がはしゃいでいた。
手作りハンバーガーがあった。
バンズと、パテと魚のフライとトマトとスライスオニオンが置かれていた。
これは、食べないと。
作るのが、楽しかった。
パテと魚の両方を挟んで、頬張った。
美味しかった。
これでしょ。
あなたを見た。
やられた。
あなたは、バンズを上下に分けていた。
上のバンズを折り曲げて、パテを挟んで、ハンバーガー。
下のバンズを折り曲げて、魚のフライを挟んで、フィレオフィッシュ。
それこそ、手作りだった。
私が作ったのは、お店のお手本をマネしただけだった。
あなたは、お店にないハンバーガーを作りだしていた。
あなたの味変に負けるのが、快感だった。



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