#1187 アクションと、悠々と。
あなたのアクションと悠々が好き。
あなたと、地方からの戻り。
新幹線を降りて、山手線で移動。
帽子、コート、バッグ。
こんな人は、なかなか山の手線にいない。
でも。
あなたは、さり気なく、乗っている。
まわりがどんな環境でも、溶け込む。
カメレオンのように。
終電の車内は、混んでいた。
前の駅で、ホームの非常停止ボタンが押されたとのことで、しばらく電車が止まった。
そのぶん、お客さんが増えた。
乗り換える渋谷駅に着いた。
渋谷駅は、9本の路線が交差している。
満員の乗客が、一斉に降りた。
あなたも、降りた。
降りるのと、すれ違うように、乗り込んできた。
降りた乗客の席が空いている。
空いた席が、乗り込むお客さんのスピードを加速させた。
「カツン」
何かが、落ちる音がした。
それを、あなたの耳が、聞き逃さなかった。
その瞬間。
あなたの目は、録画を再生する。
女性用の金色のクシが落ちた。
落とした女性は、空席に突進した。
金色のクシの上を、乗り込む乗客の集団。
それを、あなたがさっと拾った。
そして、再び車内へ。
発車のベルが鳴る。
えっ。
あなたを乗せたまま、電車が出てしまう。
落とした女性は、奥の方の席に座っていた。
空席に目がいって、落としたクシに気づかなかった。
「クシ、落としたよ」
女性が、気づいた。
反射ベル。
「投げるよ」
あなたは、女性の席に、弧を描くようにクシをトスした。
「ありがとうございます」
女性の微笑みが、閉まる扉の隙間から聞こえた。
間一髪。
あなたは、降りた。
コートと帽子とバッグ。
そしてあなたは、何事もなかったかのように、乗り換える電車に悠々と歩いていた。





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