#1230 堂々と、通用口から。
あなたの堂々感が好き。
あなたは、今日は展覧会の内覧会。
ファッションデザイナーの御本人と、2日前に会った。
「明後日、よろしくね」
明後日?
手違いで、インビテーションが届いていなかった。
そんなことには、動じない。
時間を聞いた。
即答。
「もちろん、行きます」
スマホのスケジュールなんて、見ない。
「入口で、名前を言えばいいように、しておくから」
当日。
内覧会の日は、休館日だった。
あなたは、迷わず、通用口に向かった。
休館日は、正面玄関は閉まっていると、予測した。
通用口の守衛さんに、内覧会で来た旨を話した。
「こちらに、ご記入ください」
名前と入館時間を記入して、首から下げる入館パスをもらって、中に入った。
この美術館には、何度も来ている。
通用門から入るのは、初めてだった。
ここから、こうつながるのか。
裏動線は、楽しい。
スタッフの声がする方に向かう。
こういう時、あなたに、迷いがない。
どう行けばいいかを全く聞いていないのに、行く方向が分かる。
受付があった。
「こんにちは」
スタッフの女性が、驚いた。
「どこから、来られたんですか」
通用口から、と答えた。
「よく入れましたね」
内覧会用に、正面玄関が開けてあった。
「スタッフパスを、下げてるし」
招待客は、ゲストパスだった。
「スタッフみたいなもんだから。手伝いますよ」
堂々としているから、守衛さんも気づかなかった。
帰りも、もちろん、通用口から帰った。
守衛さんは、スタッフに声をかけるように「お疲れさま」と言った。





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