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#1231 悔しがる、愉しみ。

あなたの映画の話が好き。
あなたと、映画を観た。
その後、ご飯を食べに行った。
映画の話を、いつものように、あなたはすぐしない。
余韻を味わっている。
デザートになって、私は、映画の話をふった。
私は、原作も、読んでいた。
私は、映画の感想を話した。
あなたは。
「このシーンが、面白かった」
それは、クライマックスではなかった。
冒頭のシーンだった。
しかも、何でもないシーンだった。
「このシーン、いるかな」
と、私は思っていた。
ポップコーンの列に並んでいて遅れて席に座った人は、見逃していた。
それでも、大丈夫と、私は感じていた。
あなたの話を聞くまで。
あなたは、短いシーンを、切り取って、味わっている。
それに比べると。
私の感想は、あらすじをなぞっているだけだった。
悔しい。
どうしたら、そんな観方ができるの。
そんな映画の観方を、誰も教えてくれなかった。
私は、監督の投げかけた謎を問いて、満足していた。
あなたは、監督も意図していない謎に、挑んでいた。
映画の神様の投げかけた謎だった。
しかも。
それは、自分の生き方にも、通じていた。
このたわいないワンシーンで、生き方を変えていた。
映画をちっとも観ていなかった。
私が観たのは、あらすじだった。
同じ映画を観たのに。
あなたと映画の話をして、悔しがることが、私の映画の楽しみ方になっていた。



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