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#1241 気づかれない、優しさ。

あなたの気づかれない心遣いが好き。
新幹線で、新大阪から東京に移動。
あなたは、窓際に座った。
通路側の席は、空いていた。
通路を挟んだ反対側の窓側には、おじさん。
缶ビールで、サンドイッチを頬張っている。
京都駅で、外国人のお母さんと女の子が乗ってきた。
お母さんがあなたの隣に。
女の子が、缶ビールおじさんの隣に。
並びの席は、満席だったのだろう。
二人が座る前に、あなたがお母さんに、声をかけた。
席を替わりましょう。
お母さんが、「サンキュウ」と笑顔になった。
その流れが、いかにも、ナチュラル。
一瞬の出来事だった。
聴き取れないくらいのナチュラルな英語だった。
英語だけではない。
日本人離れしたアイコンタクト。
アスリートのようなフットワークの軽さ。
女の子が、座る前の出来事。
缶ビールのおじさんは、相変わらず、ふたつ目のサンドイッチを頬張っている。
こんなかわいいレディーを、缶ビールのおじさんの隣に、座らせるわけにはいかない。
ママと女の子は、新横浜の手前で降りる支度を始めた。
新横浜で、降りていった。
特に、声かけはしなかった。
もちろん。
声をかけられたら、いつでも返す準備はできていた。
降車口に向かうママと女の子を見送りながら、あなたは、二人の忘れ物がないかチェックしてあげた。
なかった。
二人の背中に、心の中で、手を振った。
あなたは、微笑んでいた。



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