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#1248 全部、実話。

あなたの思い出が好き。
あなたと、十和田の現代美術館。
もう一つ、あなたと見たい作品があった。
3階建てのマンションに寝転がると、鏡に反射されて、ぶら下がっているように見えるインスタレーション。
寝転がって安定しているみたいだけど、目に見える世界では不安定。
逆に、不安定に見えるけど、実は安心していいというメッセージかもしれない。
まず、驚いた。
仕組みはわかっているはずなのに、鏡が全く見えない。
寝転がってみた。
これは、誰もがする。
次に、ベランダから、ぶら下がってるフリをした。
これは、なかなかいいんじゃない。
でも、それも、誰もがする。
あなたの番。
あなたは、3階のベランダと部屋の間の狭い桟の上に立った。
背中は、壁に張り付いている。
手には。
靴を持っている。
今まさに、部屋の中から、抜け出してきた男になった。
やられた。
あなたには、設定があった。
恋人の所に忍び込んだ。
すると、夫が帰ってきた。
恋人は、窓から逃げてと、叫んだ。
恋愛ドラマだった。
物語があった。
私のポーズは、物語がなかった。
ただのポーズだった。
あなたは、考えてきたわけではなかった。
思いついたのではなかった。
思い出したのだ。
大きなおばさんを見て、おかあさんに水泳でしごかれたのを思い出したように。
あなたは、恋人との逢瀬で、窓から逃げ出したことを、思い出した。
物語ではなかった。
思い出だった。
それで、その後、どうなったの。



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