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#1261 ドラキュラ伯爵が、いつのまにか。

あなたのドアの閉め方が好き。
あなたと、個室の会席料理のお店に。
玄関で、靴を脱いで上がる。
すべてのお部屋が、個室になっている。
障子を開けて、あなたが先に入った。
私は、おでこをぶつけた。
想像以上に、低い。
お茶室のにじり口のイメージ。
床の間がある。
掘り炬燵でなければ、お茶室かと思われる。
雪見障子から、庭石が見える。
お庭は、なかったはずなのに。
廊下に、お庭に見立てた庭石が、置かれていた。
お食事が終わって。
化粧室に、立った。
しまった。
何番目の部屋だったかを、確認しておくのを忘れた。
3番目か、4番目か。
間違って、他の部屋の障子を開けたら、恥ずかしい。
雪見障子の窓から、振る手が見えた。
あなたが、迷っている私に気づいてくれた。
危なかった。
完全に、違うお部屋に入るところだった。
あなたが、交代で、化粧室に。
そして。
いつのまにか、あなたが戻ってきた。
床の間のお軸を見ていた私は、あなたが戻ってきたことに、気づかなかった。
あなたが閉めた障子の音はしなかった。
私は。
思い出した。
障子を閉めるたびに、音が鳴っていた。
少し残して、2段階に閉めていたつもりだったのに。
最後のところで、力をセーブできなかった。
あなたは、0.1ミリ、残して閉めている。
厳密には、閉め切っていない。
見えないスポンジが、そこにあるかのように。
あなたの動作には、音がしない。
ドラキュラ伯爵が、いつのまにか、お部屋の中にいるように。



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