#571 見る人の、心が映る
あなたの表情が、好き。
あなたと、能面を見に行った。
能面は、あなたに似ていた。
そこに置かれている能面は、無表情に見える。
能舞台では、能面は表情豊かになる。
まるで、面を取り換えたかのように感じる。
面を外して、役者さんが、顔の表情をオーバーアクションにしているように感じる。
でも、同じ面。
あなたは、表情豊かだと思っていた。
実際は、表情をそんなに変えているわけではないことに、気づいた。
表情を変えていないのに、表情が豊かに感じる。
たまたまの人に出会っても、はしゃいだりしない。
だからといって、冷たいわけでもない。
優しさに、満ちている。
声も、大声でもない。
小さな声なのに、通る。
いつまでも、聴いていたくなる声。
外を動かさず、中を動かしている。
外が動いている人は、中が動かない。
あなたは、中を動かす。
そこが、セクシー。
あなたの顔を、見つめる。
見つめているのではない。
見つめているつもりで、見つめられている。
心の中まで、見通されている感じがする。
見通されても、安心。
どうせ見通されるなら、全部見てもらおうと感じる。
あなたを「怖い」と言う人もいる。
それが、自分の心の反映だ。
あなたを見て怖がったのではなく、最初からあらゆるものに怯(おび)えている。
それが、増幅しただけ。
あなたの顔は、見る人の心を映し出す。
優しく見える。
私の心が、優しい状態にあるんだなと、安心した。