#630 勢いと、気品と、セクシーと
あなたの料理の取り分けが、好き。
あなたが料理を取り分けてくれる。
なによりも、速い。
気がついたら、分けられている。
取り分けは勢いなんだ、と気づいた。
イタリアンのお店で、お店のスタッフが丁寧に分けてくれたことがあった。
丁寧すぎて、遅かった。
ソースが、ちょっぴり硬くなっていた。
ナポリのレストランで、あなたが取り分けてくれた。
勢いがあった。
それを見たスタッフの美人が、「ぜひ、ここで働いて」と言った。
「仕事は、シェフでしょ」
彼女は、同業者だと感じたに違いない。
あなたの取り分けには、イタリア人の勢いと、イギリス人の紳士さと、フランス人のセクシーさがある。
パスタは、一発で分ける。
しかも、あなたのパスタは螺旋(らせん)を描いて立ち上がっている。
あなたは、テーブルで料理を仕上げる。
届いたときよりも、見事に仕上げる。
お肉を分けてくれるときは、私の満腹感を聞かなくても、気遣ってくれる。
一切れの大きさも、同じサイズに切らない。
並べ方も、デザインされている。
デザートの取り分けは、絶品。
ただ、分けているだけではない。
最後のひと口がおいしいことまで、知り尽くしている。
大きいサイズと、おまけのひと口を用意してくれる。
お皿への盛り付けも、新しいメニューが出来上がる。
ソースも残さず、絵の具にしてしまう。
ほら、またウエートレスの美人が見とれている。
隣のテーブルの美人も、見とれている。
取り分けは男性の見せ場だと、気づかせてもらった。
取り分けのセクシーなあなたがいい。