» page top

#636 Eは、ないでしょ

 あなたのメニューの選び方が好き。
 あなたと、レストランに入った。
 メインは、5つから、選べる。
 私は、ぱっと目に入ったものに、飛びついた。
「私は、Aをお願いします」
 写真が、いかにも、おいしそう。
「これ、1番人気なんですよ」
 スカーレット・ヨハンソンに似た美人のウエートレスさんが、言った。
 やっぱり。
 ちょっと、自分でもうれしい。
 こういうとき、あなたは私と違うものを選んでくれる。
 でも、今日は、難しい。
 他の4つが、写真の撮り方が、失敗している。
 これでは、頑張っているシェフが気の毒。
 シェフは、「なんでこの料理がでないのかな。自信作なんだけどな」と、悩んでいるに違いない。
 今日は、他のを選ばないで、同じAで、いいんじゃない。
 それでも、あなたは、別のを選んだ。
「僕は、Eをお願いします」
 しかも。
 まさか、1番ないでしょというのを、選んだ。
 まだ、BかCかDなら、分かる。
 Eだけは、最も、写真で失敗している。
 あなたは、チャレンジャー。
 そういうところも、好き。
「Eで、よろしかったですか」
 ヨハンソンさんも、確認した。
 私と同じ意見だったに違いない。
 頼む人が、ほとんどいない。
 ところが、不思議なことが、起こった。
 あなたが、Eを頼んでから、周りのテーブルの女の子が、次々と、Eを頼んだ。
 まだ、料理は来ていないのに。
 ヨハンソンさんが、驚いていた。
 とうとう、Eが売り切れになった。
「お待たせしました」
 Eは、食べたことがないくらいおいしかった。
 あなたの魔法。



【中谷先生のおすすめ電子書籍TOP3】 紹介記事はこちらからどうぞ