#648 私にだけ、聴こえる歌を歌って。
あなたの私にだけ聴こえる歌が好き。
あなたが、フレンチレストランで、私が思い出そうとしていた音楽を、思い出してくれた。
そして、歌ってくれた。
ここは、個室ではない。
センターテーブル。
私の耳には、はっきり聴こえた。
深い響きが、伝わってきた。
ウィスパーではなく、実音として、伝わってきた。
私は、あなたの歌に、包まれた。
幸せな時間だった。
ワンコーラス、歌ってくれた。
ゆるやかに、のびのびと。
余韻に浸った。
最初からお店に流れていたBGMは、どうなったんだろう。
あなたの歌と、ぶつかっていなかったから、この時、ちょうど流れていなかったのか。
あなたの歌が終わって、しばらくBGMは聴こえてこなかった。
やっぱり、お店のBGMはちょっど流れていなかった。
BGMが、聴こえてきた。
曲の途中からだった。
BGMは、止まっていたのではなかった。
あなたの歌が、BGMを聴こえなくしていただけだった。
隣のテーブルの人は、何事もなかったかのように、食事を楽しんでいた。
あなたの歌を、お店のBGMと勘違いしたのだろうか。
そうじゃない。
あなたは、私にだけ聴こえるように、歌ってくれた。
レストランの中で、たった一人にだけ聴こえるように歌うのは、凄い。
私のためだけに、歌ってもらえるのは、幸せ。
あなたは、気づいてくれた。
私が、あなたの一人専用の歌を、私が味わっていることを。
あなたは、それに気づいて幸せそうだった。
そして、あなたの幸せそうな顔が、私の幸せだった。





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