#653 あなたの夢の中に。
あなたの夢が好き。
目が、覚めた。
あなたの腕の中だった。
あなたを、見上げる。
あなたは、何も言わないで、キスしてくれる。
あなたは、いつから起きてたの。
それとも、同時に起きたのかな。
カーテンの外は、まだ暗い。
外の音の気配もない。
夜明けまで、まだしばらく時間がある。
夢を、見ていた。
思い出せない。
変な夢だった。
ちょっと、しんどかった。
明日、試験なのに、何も勉強していなかった夢。
あなたが起きてくれたのは、私がしんどそうな声で叫んだからかな。
「僕も、夢を見ていた」
あなたが、夢の話をしてくれた。
ロマンチックな、夢だった。
私の夢には、脈絡がない。
あなたの夢には、映画のようなロマンチックな展開がある。
夢は、断片のパズル。
あなたは、一つ一つのピースを、ロマンチックに組み立てる。
現実も、夢のように生きている。
夢の中でも、夢のように生きている。
夢と、現実に、境目がない。
思い出した。
夢の中で、試験会場なのに、あなたに抱きしめてもらっていた。
こんなところで、いけないのにと思いながら。
そして、目が覚めたら、あなたの腕の中にいて、あなたの夢の話を聞かせてもらった。
もしかしたら。
今、こうしているのも、夢かもしれない。
これは、私の夢かな。
あなたの、夢かな。
できれば、あなたの夢の中だといいな。