＃654　男性にも、優しい。

　あなたの寝言が、好き。
　目が、覚めた。
　あなたの、腕の中。
　話し声で、起きた気がした。
　あなたを見た。
　あなたは、少年のように優しい顔で眠っている。
　さっきの声は。
　聞き覚えのある声だった。
　ボイスレコーダーを、再生する。
　優しい声。
　あれは、あなたの声。
　あなたが、誰かと、話していた。
　途中の言葉が、解析できない。
　最後のひと言が、再生できた。
「そうだね」
　はっきり、そう言った。
　その言葉が、優しかった。
　かわいがっている感じだった。
　誰に、言ってるのか。
　不思議と、相手が、男性のような気がした。
　仕事の話ではなく、悩み相談を聞いている感じ。
　きっと、男性。
　あなたは、男性にも優しい。
　こんなに男性に優しいなら、女性に優しいのは、当たり前。
　男性を、可愛がりすぎる。
　それは、いいこと。
　私は、可愛がられすぎている。
　男性にも、女性にも、いっぱいかわいがってもらないと、神様の独占禁止法に引っかかる。
　あなたは、何かを捨てる時も、やさしい。
　折りたたんで捨てる。
　撫でるように、折りたたんでいる。
　撫でられた髪が、感じている。