#658 全部、見透かされる幸せ。
あなたの心の盗聴が、好き。
あなたと、ルームサービス。
あなたが、仕事に行っている間に、私はお部屋に入ってくつろいでいる。
あなたが、戻ってくるまで、もう少しの時間がある。
ルームサービスのメニューを見る。
美味しそうなのが、並んでいる。
迷う。
この時間が、楽しい。
あなたは、何を頼むかな。
たぶん、これかな。
そうすると、私は、これかな。
これもいいな。
それだと、多すぎるかな。
高ぶってしまう。
高ぶって、つい頼みすぎてしまう。
あなたは、私が食べたいものを優先してくれる。
高ぶっていることも、わかってくれる。
満腹で苦しくならないように、調整もしてくれる。
だから、安心して、高ぶることができる。
これって。
ベッドの時と、同じ。
あなたがいるから、私は安心して、高ぶることができる。
チャイムが、なる。
あなたが、戻った。
「決まった?」
メニューを見ていたことを、何も言っていないのに。
メニューは、最初からある位置に戻していたのに。
最初の位置。
そうか。
あなたは、私がメニューを見るだろうから、この位置に置いてくれていた。
「インルームダイニング、お願いします」
インルームダイニングという言い方が、大人。
あなたが、オーダーする。
私が、選んだものばかり。
あなたに選んだものは、何も言っていないのに。
心の盗聴をされている。
全部、盗聴されたい。