#662 橋が、パレードでやってくる。
あなたと乗る船が、好き。
あなたと、浜離宮に行った。
あなたとの待ち合わせは、最寄りの駅ではなかった。
浅草だった。
浜離宮には、だいぶ離れていた。
目的地に、いきなり行かない所が好き。
浅草から、隅田川クルーズ船に乗った。
クルーズ船は、静かだった。
貸し切り状態だった。
船は、2階建て。
下の階を見せてくれた。
下の階は、落ち着いたムードで、食事を楽しむ雰囲気。
あなたは、2階のほうに座った。
天井が、シースルーになっている。
青い空が、見えた。
水の香りがする。
しかも、寒くない。
江戸時代の人が、隅田川から見ただろう川べりの景色を見た。
江戸時代の人は、隅田川で、美を味わった。
桜に、花火に、お祭りに。
江戸時代の人のアングルで、川から東京を見るって、不思議な感覚になる。
橋の下を、くぐっていく。
船の天井が、ぎりぎり当たりそうになる。
それが、また楽しい。
消防庁の船とすれ違った。
手を降ってくれる。
あなたのクルーザーのような気がしてきた。
次の橋、その次の橋、そのまた次の橋が、先に見えた。
これは、橋のパレード。
それぞれの橋が、違う形だった。
色も、違った。
エレクトリカルパレードの音楽が、私の中でなっていた。
船が、目的地になっていた。