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#685 あなたのテレパシーを、味わって。

 あなたのカフェの味わい方が、好き。
 あなたと、銀座に行った。
 日曜日の午後。
 人が増えている。
 それは、それで平和な日常に、感謝できる。
 あなたが、カフェに向かう。
 昭和11年創業。
 入り口は、回転扉。
 予約は、できない。
 予約ができないお店が、あなたは得意。
 お店は、やっぱり、いっぱい。
 階段の所に、3組、待っている。
 お客様は、まったりしている。
 この分だと、回転するのは、時間がかかる。
 あなたは、お店のスタッフと話している。
 コーヒーのいい香りが、漂ってくる。
 シグニチャーメニューのアップルパイのいい香りもする。
 戦前の建物の昭和の老舗の香りもする。
 わかった。
 あなたが、なぜ、スタッフと長話をしてくれたか。
 あなたは、私にお店を味わせてくれた。
 お店の人と話をしている間に、コーヒーとアップルパイと戦前の建物をたっぷり味わせてくれた。
 あなたのディレイ・プレイ。
「おいしかったね」
 あなたが、笑っていった。
 あなたも、スタッフと話しながら、コーヒーとアップルパイと戦前の建物を味わっていた。
 あなたのテレパシーに気づけた。
 あなたと一緒に、老舗のカフェを味わった。
 味わうには、座る必要はない。
 1分しかいなかったけど、2時間滞在したように味わえた。
 入れ違いに、次のカップルは、男性だけが中に入っていった。
 恋人が、外で待っていた。
「入るといいよ」
 あなたが、声をかけた。
 彼女は、ニッコリ微笑んだ。



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