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#690 タクシーに、乗る前から。

 あなたのタクシーの運転手さんとの会話が、好き。
 あなたと、タクシーに乗る。
 不思議なことに、気づいた。
 あなたと一緒に乗るタクシーの運転手さんは、みんな感じがいい。
 私が、一人で乗る時は、ハズレもある。
 タクシーだから、選べるはずないのに。
 そうか。
 あなたは、感じのいいタクシーを選んでいるのではない。
 すべての運転手さんが、感じがいいとも、限らない。
 運転手さんも、人間だから。
 虫の居所が悪いこともある。
 あなたは、乗った運転手さんの気持ちを、ゴキゲンにしている。
 そう言えば。
 乗った瞬間、タクシーの運転手さんは、ちょっと暗い感じだった。
 あなたが、話しているうちに、ゴキゲンになった。
 どうしたら、落ち込んでいるタクシーの運転手さんをゴキゲンにできるのか。
 いや違う。
 あなたがゴキゲンにしたのは、話しているうちに、ではない。
 タクシーに、乗る前から。
 ドアが開いたら、乗る前に、感じのいいひと言を、タクシーの中に送り込んだ。
 体が乗る前に、先に、感じのいいひと言が、乗り込んだ。
 だから、運転手さんがゴキゲンになった。
 いや、違う。
 あなたは、タクシーに手を挙げた時から、感じが良かった。
 あなたが挙げた手を見た瞬間、タクシーの運転手さんは、ゴキゲンになった。
 いや。
 あなたが、タクシーを見つける前から、運転手さんは、タクシーを待っているあなたを見つけていた。
 相手は、プロ。
 あなたは、タクシーを待っている時から、感じがよかった。
 あなたは、タクシーを選んだのではない。
 タクシーが、あなたを選んだのね。



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