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#708 パズルのように、可愛がる。

 あなたのパズルの解き方が好き。
 朝。
 これから、授業に向かう。
 あなたは、デスクで、準備をしている。
 あなたは、なにかを、考えている。
 おもむろに、スマホを取り出す。
 なにかを、見ている。
 まばたきをしない。
 あなたは、スマホの画面を見ているというよりは、何かの映像を見ている。
 その映像は、スマホには、映し出されていない。
「なるほど」
 あなたが、つぶやく。
 そして、微笑む。
「そっち側は、一度も試していなかった」
 あなたは、パズルを考えていた。
 あなたは、わからない問題は、答えを見ない。
 パズルの写真を、スマホに保存する。
 そして、考え続ける。
 ストレスにならないのだろうか。
 私は、我慢できなくて、答えを見てしまう。
 最近のパズルの本は、答えのページが、問題の裏側にはない。
 問題の裏側には、ヒントだけが書かれている。
 しばらくすると、また次のヒントが書かれている。
 答えのページは、偶然、たどり着くように、できている。
 そんなことをしなくても。
 あなたは、答えを見ない。
 問題を、頭に焼き付ける。
 そして、考え続ける。
 解けたら、やっぱり答えはいらない。
 パズルは、3問あった。
 最初の問題は、制限時間の10分以内に解けた。
 解けなかった、2問を、頭に焼き付けた。
 写真に撮っているのは、確認のためだけだ。
 2問目の問題が、朝の出かける前の忙しい時間に解けた。
 3問目の問題は、まだあなたにかわいがってもらっている。
 あなたにかわいがってもらえるパズルが、私はちょっとうらやましかった。



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