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#710 何かを、思いついている。

 あなたの「あっ」が、好き。
 あなたと美術館。
 「あっ」
 あなたが、小さな叫び声を上げる。
 何かに、気づいたのか。
 何かを、発見したのか。
 あなたの声は、いいことを思いついた時の明るい声。
 あなたは、今見ている絵から、何かを思いついたのではない。
 全く別のことを、思いついている。
 随分前に行った美術館でのことかもしれない。
 あの時の、あれは、こういうことだったのか。
 そういう事かもしれない。
 美術に、関係ないことかもしれない。
 全く別のことを、全く関係ない場所で、あなたは思いつく。
 アート作品が、あなたにインスピレーションを沸き立たせる。
 あらゆるものから、あなたはインスピレーションを得る。
 「なにか得られるの」
 と聞いたら、
 「すべてのものから」
 と答えるに、違いない。
 さっき、美術館のミュージアム・レストランで、ハヤシライスを食べている時もあなたは、言った。
 「あっ」
 それは、ハヤシライスについてではなかった。
 ハヤシライスが、あなたにインスピレーションを呼び起こさせたのだ。
 あなたは、インスピレーションを受けるアンテナになっている。
 観察力は、もちろん、人一倍優れている。
 それ以上に、インスピレーションを受ける力が、並大抵ではない。
 何かと、何かが、結びつく。
 あなたが、全く二つのかけ離れたものを引き寄せて、結びつける。
 そのスパークから、新しいものが生まれる。
 私は、幸せ。
 あなたのインスピレーションの現場に、立ち会うことができる幸せ。
 何を思いついたかは、もうどうでもいい。
 今何かを思いついているあなたが、好き。



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