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#719 前の人を、拝む。

あなたの待ち方が、好き。
あなたと、お参りに行った。
小さな社がある。
街の中のお社。
鳥居の前で、あなたが立ち止まった。
中に、お参りしている人がいた。
あなたは、中に入らないで、しばらく待った。
お参りをしている人が、終わるのを待っている気配だった。
あなたのお参りは、早い。
キレがある。
だからといって、雑ではない。
きちんとしている。
あなたは、毎日、お参りしている。
毎日しているので、一筆書きの動作になっている。
ムダがない。
お参りとは、こういうものだったのだと、教えられる。
近所のおばあさんが、お参りに来たことがあった。
そのご婦人も、毎日来ているということがわかる鮮やかさだった。
先客のお参りは、まだ続いていた。
お参りというより、拝みに来ている感じだった。
なにか、悩みごとがあるにちがいない。
あなたは、どうするんだろう。
あなたは、鳥居の外で、お参りをした。
一礼。
二拍をしなかったのは、お参りをしてる人を、驚かせないため。
私も、並んで、一礼をした。
お参りをしている人の悩み事は、きっと、解決する。
あなたが、後ろからも、お参りしてくれたから。
社の紙垂しでが、揺れた。
お返事を、いただいた。



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