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#722 そんな時も、余裕綽々。

 あなたの余裕綽々が、好き。
 あなたと、神社にお参りに行った。
 京都でも、最古の由緒あるお社。
 私は、天気予報が、心配だった。
 一時、激しいゲリラ豪雨の予報。
 それでも、あなたは、動じない。
 御本殿に向かう一本道。
 両側には、原生の森が続いている。
 ここで、ゲリラ豪雨が来ると、逃げ場がない。
 あなたは、悠々としている。
 途中の合祀社に、お参りする。
 「お化粧処」と書かれた小屋がある。
 ここでは、鏡絵馬を奉納する。
 色鉛筆で、自分で顔を描き込んで、美麗祈願する。
 目と鼻と口の、ワンポイントの目印が描かれている。
 先に、他の人達が、奉納した鏡絵馬を見る。
 個性豊か。
 そうか、こうして、神様は、個性が一番美しいことを、教えてくれている。
 色鉛筆で、集中して描いた。
 あなたは、ほとんど、元のワンポイントを生かして、薄く線を加えただけで、描いている。
 プロの引き算の描き方。
 雷が、鳴り始めている。
 連理の枝に、お参り。
 御本殿に、お参り。
 私は、ゲリラ豪雨が来ないか、ハラハラしている。
 それでもあなたは、悠々と、水おみくじをひいている。
 境内を流れる川で浸すと、神様のお言葉がいただける。
 「旅行 行き先に、不安なし」
 雨の匂いがしてきた。
 風が吹いた。
 木の葉が、舞った。
 突然、お茶屋さんが現れた。
 お茶屋さんに入るやいなや、ゲリラ豪雨。
 何事もなかったかのように、古来のお餅をいただく。
 「虹」
 お店の人が叫んだ。
 お店の前、腰の高さに、虹がかかっていた。



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